2019年6月4日
水産庁長官 長谷成人 殿
スルメイカ資源の激減状況下における大臣許可漁業の操業規制を求める要望書
JCFU全国沿岸漁民連絡協議会 全国沿岸イカ釣り漁民一同
要望事項
スルメイカ資源の激減状況下において、漁獲圧力の強い大臣許可漁業の大中まき網、沖合底曳漁業による
スルメイカ漁獲に対する規制を強化することを求めます。
理由
スルメイカは、昔から全国沿岸小型つり漁民の生活と、沿岸漁村をささえる重要な資源でした。しかし、近年、スルメイカ資源の減少がきわめて顕著で沿岸イカつり漁業経営はきわめて困難な状況を抱えています。
TACで豊かな漁村ができるとした平成9年の水産庁の説明の状況はまったく実現していません。この原因の一つに沿岸スルメイカ漁場における強大な大臣許可漁業の漁獲圧力があるものと私どもは考えます。
大臣許可漁業(大中まき網漁業・沖合底びき漁業)の操業が、うすくなったスルメイカ資源へ一層高い漁獲圧をかけ続けています。これらの大臣許可漁業が一度操業した漁場では沿岸イカつり漁業にはイカが集まらず、操業ができない状況に追い込まれています。
元来、大臣許可漁業は漁獲圧力が高いことから資源に悪影響を及ぼさないことを条件に許可される漁業です。
また、大中まき網漁業は、サバ・マイワシ資源が減少し、スルメイカ資源がまだ潤沢であった時代に代替え資源として操業を許可されてきた歴史があります。今、マイワシ、サバ資源が復活してきた状況にあることから大中まき網漁業は、激減したスルメイカ資源への漁獲を自粛・規制するよう水産庁は指導・誘導されることを要望します。
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2019年6月4日
水産庁長官 長谷成人 殿
沿岸漁民の生活を重視したクロマグロ漁獲管理を求める要望書
JCFU全国沿岸漁民連絡協議会 全国沿岸クロマグロつり・はえなわ漁民一同
要望理由
日本も批准した「WCPFC条約」や「FAO責任ある漁業のための行動規範」そして「家族農業の10年」国連決議には、諸政策を実行する際には、小規模漁業の特性を考慮し、その保護が明記されています。
今期の沿岸漁業へのクロマグロの漁獲枠配分方式では、あまりにも漁獲枠が小さくて若い漁業者が漁業をあきらめざるを得ない状況が、津軽海峡や対馬海域をはじめとした全国でおきています。
「クロマグロを生かして沿岸漁民を殺す」のでは、国の水産政策とは言えません。全体的には後継者減少が言われる日本漁業ですが、沿岸クロマグロ漁業には将来の日本の沿岸漁業を背負うすばらしい若者が大勢います。これらの若者たちが漁業をあきらめず沿岸クロマグロ漁民が地域漁村で生活できるよう以下のとおり要望します。
要望事項
○沿岸クロマグロ漁民が生活できるよう大型魚・小型魚とも沿岸漁獲枠を大幅に増加させること。
○現在の実績漁獲量に基づいた漁獲量配分方式では、沿岸つり・はえなわ漁業では増えだしたクロマグロ資源に対応できず、新規参入もできません。もともとこれら小規模漁業は、変動する沿岸来遊資源の増減に柔軟に対応してきた漁業です。だれも沿岸来遊量を予測することなどできません。沿岸つり・はえなわマグロ漁業に対しては、このような沿岸クロマグロ資源の特性に対応した柔軟な沿岸漁獲管理方式にすることを要望します。
○漁業共済についてはクロマグロだけを対象とした共済制度にすること。また、抜本的な所得補償対策を実施すること。
○沿岸漁民が決められた小さな漁獲枠を細分しながら数本ずつ毎日漁獲していた同じ漁場に大臣許可まき網が突然出現、一度に50トン70トン漁獲してしまい、沿岸漁民の漁場を喪失させ、マグロ価格をいっぺんに暴落させ、沿岸漁民を苦しめているのが、今、水産庁が行っているクロマグロTAC管理の現場実態です。水産庁は国際的漁獲枠の数量管理だけに目をうばわれてこのような現場での問題に目をつぶっています。
水産庁は地先漁場ごとに沿岸漁民と大臣許可まき網漁業間の漁業調整を本気で実施するよう強く要望します。
○親魚水準が低位ならば、親魚漁獲のインパクトが強い日本海における大臣許可まき網漁業による産卵クロマグロの漁獲規制こそ実施すべきこと。
○地域には小型魚と大型魚の来遊特性に相違があること、年によってはどち らかに偏った来遊もあることから、TAC設定にあたっては小型魚・大型 魚と2分しない総枠方式での管理ができないか検討をすること。
○水産庁が行った沿岸クロマグロ漁の承認制度により承認数が多くなり、漁獲枠制度の元で本来のクロマグロ依存漁民が苦しむ結果となっている。本来のクロマグロ漁民が生活できる制度となるよう検討すること。
○漁獲枠を遵守するため沿岸つり・はえなわ漁民は大変な労力と時間をかけながら船上での再放流作業を行っている。これに対する所得補償対策を実施すること。
○イカ釣り、はえ縄など本来クロマグロをねらわない漁業でも混獲水揚げを回避し漁具を切り放流している。
クロマグロ保護により、イカやブリ漁業が成立しない地区もある。これらの漁業への所得補償対策も実施すること。
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2019年6月4日
水産庁長官 長谷成人 殿
JCFU全国沿岸漁民連絡協議会
要望書
国連決議を生かし沿岸家族漁民の暮らしを守る水産政策を
国連総会は2017年に日本政府も提案国として2019年から10年間を漁業も含む「家族農業の10年」と定め、さらに世界また日本においても全経営体の9割以上を占める小規模農業・小規模漁業など家族農業・漁業を食糧生産の担い手としてその重要性を認識しその振興施策を各国に打ち出すよう要請しています。
日本漁業では経営体の94%が沿岸・家族漁業です。この沿岸・家族漁業の振興なくしては、日本の漁業、漁村、沿海域の地方創生はありえません。
しかし今、水産庁がすすめようとしている「新漁業法」による施策や「クロマグロの漁獲管理」施策などは、国連が示す方向とは真逆に沿岸漁民、地域漁協、地方漁村を一層縮小・疲弊させていく方向であるといわざるをえません。日本の水産政策を国連が掲げるような小規模・沿岸・家族漁業の保護・育成を重視した政策に転換することを求め、以下のとおり要望します。
●沿岸漁業と地域漁協を縮小に追いやる「新漁業法」の施行延期と全ての漁業者が納得できる漁業法を国会で再審議するよう求めます。
昨年の12月の「漁業法改定」にあたっては、水産庁は全国の地域漁協956漁協のうち77漁協にしか事前説明を行わず、「丁寧な説明」なしに「新漁業法」制定を強行しました。「新漁業法」制定後に説明に回っていますが、私たちはその内容にまったく納得していません。
① 養殖用区画漁業権、定置網漁業権を、漁協に所属しない企業に知事が直接免許する。
② 資源と沿岸漁場圧迫につながる大臣許可漁業の漁船トン数規制を無くし大型化を自由にする。
③ 区漁業調整委員会の委員の選出にあたっては、公選制から知事の任命制にする。
などとしていますが、このような制度改訂は地元の海とともに生きてきた沿岸漁民、地域漁協の権限を縮小し、沿岸漁場の利用方式を企業本位に変え、沿岸漁場の利用秩序を乱すものでとうてい容認することはできません。現場の声に真摯に耳を傾け「新漁業法」の施行を延期し、全ての漁業者が納得できる漁業法を国会で再審議するよう求めます。
●水策政策審議会に沿岸漁民の代表を選出し、沿岸漁民の意見を反映させることを求めます
水産政策審議会の委員選出方法は極めて不透明です。日本の経営体の94%を占める沿岸漁業経営体の漁民がいない委員構成となっており極めて不合理、不公正な審議会です。そのため、これまで沿岸漁業の実情に関する議論がほとんどされてきておりません。沿岸クロマグロ漁業従事者、沿岸養殖業従事者ら沿岸漁業に従事する漁民を代表する委員を選定するよう求めます。
●沿岸漁民の生活に係わる政策審議には十分な事前説明を行い、現場意見を尊重することを求めます
クロマグロの沿岸漁獲規制に関しては沿岸漁民の生活を脅かす内容となっており、各地で不満が渦巻いています。水産庁は昨年のTAC移行、とくに大型魚の漁獲枠決定に関しては現場に説明もせず、本来30日間行うべきパブリックコメントも9日間で一方的に締め切り、昨年6月末に農水省前に集まったクロマグロ漁民の声を無視し、TAC制移行を強行しました。「漁業法改定」「クロマグロTAC制度移行」と水産庁の近年の行政運営は極めて沿岸漁民無視、漁協組織無視で強引、非民主的運営といえます。
このような水産行政を行う水産庁、農林水産省、政府に対して私たち沿岸漁民は強い不信感と憤りをもたざるを得ません。これまでの水産庁行政に対する私たちの信頼は崩れ去ったと言っても過言ではありません。今後のクロマグロ漁獲管理、および水産施策実行などの行政運営にあっては、このような強引な行政運営を行わないよう強く要望します。
●クロマグロの漁獲管理にあたっては沿岸漁業の特性を考慮した施策を行うことを求めます
日本も批准した「WCPFC条約」や「FAO責任ある漁業のための行動規範」そして「家族農業の10年」国連決議には、諸政策を実行する際には、小規模漁業の特性を考慮し、その保護が明記されています。
今期の沿岸漁業へのクロマグロの漁獲枠配分方式では、あまりにも漁獲枠が小さくて若い漁業者が漁業をあきらめざるを得ない状況が、津軽海峡や対馬海域をはじめとした全国でおきています。「クロマグロを生かして沿岸漁民を殺す」のでは、国の水産政策とは言えません。全体的には後継者減少が言われる日本漁業ですが、沿岸クロマグロ漁業には将来の日本の沿岸漁業を背負うすばらしい若者が大勢います。これらの若者たちが漁業をあきらめず沿岸クロマグロ漁民が地域漁村で生活できるよう以下のとおり要望します。
○沿岸クロマグロ漁民が生活できるよう大型魚・小型魚とも沿岸漁獲枠を大幅に増加させること。
○現在の実績漁獲量に基づいた漁獲量配分方式では、沿岸つり・はえなわ漁業では増えだしたクロマグロ資源に対応できず、新規参入もできません。もともとこれら小規模漁業は、変動する沿岸来遊資源の増減に柔軟に対応してきた漁業です。だれも沿岸来遊量を予測することなどできません。沿岸つり・はえなわマグロ漁業に対しては、このような沿岸クロマグロ資源の特性に対応した柔軟な沿岸漁獲管理方式にすることを要望します。
○漁業共済についてはクロマグロだけを対象とした共済制度にすること。また、抜本的な所得補償対策を実施すること。
○沿岸漁民が決められた小さな漁獲枠を細分しながら数本ずつ毎日漁獲していた同じ漁場に大臣許可まき網が突然出現、一度に50トン70トン漁獲してしまい、沿岸漁民の漁場を喪失させ、マグロ価格をいっぺんに暴落させ、沿岸漁民を苦しめているのが、今、水産庁が行っているクロマグロTAC管理の現場実態です。水産庁は国際的漁獲枠の数量管理だけに目をうばわれてこのような現場での問題に目をつぶっています。水産庁は地先漁場ごとに沿岸漁民と大臣許可まき網漁業間の漁業調整を本気で実施するよう強く要望します。
○親魚水準が低位ならば、親魚漁獲のインパクトが強い日本海における大臣許可まき網漁業による産卵クロマグロの漁獲規制こそ実施すべきこと。
○地域には小型魚と大型魚の来遊特性に相違があること、年によってはどち らかに偏った来遊もあることから、TAC設定にあたっては小型魚・大型 魚と2分しない総枠方式での管理ができないか検討をすること。
○水産庁が行った沿岸クロマグロ漁の承認制度により承認数が多くなり、漁獲枠制度の元で本来のクロマグロ依存漁民が苦しむ結果となっている。本来のクロマグロ漁民が生活できる制度となるよう検討すること。
○漁獲枠を遵守するため沿岸つり・はえなわ漁民は大変な労力と時間をかけながら船上での再放流作業を行っている。これに対する所得補償対策を実施すること。
○イカ釣り、はえ縄など本来クロマグロをねらわない漁業でも混獲水揚げを 回避し漁具を切り放流している。クロマグロ保護により、イカやブリ漁業 が成立しない地区もある。これらの漁業への所得補償対策も実施すること。
●スルメイカ資源の激減状況下において、漁獲圧力の強い大臣許可漁業(大中まき網、沖合底曳漁業)による漁獲規制強化を求めます
スルメイカは、昔から全国沿岸小型つり漁民の生活と、沿岸漁村をささえる重要な資源でした。しかし、近年、スルメイカ資源の減少がきわめて顕著で沿岸イカつり漁業経営はきわめて困難な状況を抱えています。
TACで豊かな漁村ができるとした平成9年の水産庁の説明の状況はまったく実現していません。この原因の一つに沿岸スルメイカ漁場における強大な大臣許可漁業の漁獲圧力があるものと私どもは考えます。
大臣許可漁業(大中まき網漁業・沖合底びき漁業)の操業が、うすくなったスルメイカ資源へ一層高い漁獲圧をかけ続けています。これらの大臣許可漁業が一度操業した漁場では沿岸イカつり漁業にはイカが集まらず、操業ができない状況に追い込まれています。八戸沖でのまき網漁業でのスルメイカの大漁漁獲以来、標識放流結果により八戸からの南下移動が確認されていた千葉県など太平洋南区沿岸域でのスルメイカのつり漁場は消失してしまいました。
元来、大臣許可漁業は漁獲圧力が高いことから資源に悪影響を及ぼさないことを条件に許可される漁業です。また、大中まき網漁業は、サバ・マイワシ資源が減少し、スルメイカ資源がまだ潤沢であった時代に代替え資源として操業を許可されてきた歴史があります。今、マイワシ、サバ資源が復活してきた状況にあることから大中まき網漁業は、激減したスルメイカ資源への漁獲を自粛・規制するよう水産庁は指導・誘導されることを要望します。
●日本の沿岸漁船の操業を困難にする日台漁業協定の白紙撤回を求めます
日台漁業協定は地元漁民の同意もとらず国が上から勝手に押しつけ、地元に犠牲を強いる協定です。現在設定されている 協定の範囲では、日本側が 優先して利用できる 東経124度00分以東においても、範囲がせまく、7隻ほどの利用しかできません。また 利用できる北限が近いため、延縄を 全て投入することができず、中途半端な操業を強いられています。トラブルを避けるため、協定発足後、この水域での 本格的な操業の自粛が続いており、台湾側からは 海域を利用していないとの指摘がされてしまう状況が続いています。
台湾船の流失漁具が 石垣島北方に設置されている浮魚礁にからまり、切断されるトラブルも起こっており、マグロ延縄船に限らず、他漁船の操業にも 支障が 生じています。
協定締結後、特に 4月から7月の 本マグロ漁期においてまともな 操業ができずにいるため日台漁業協定の白紙撤回を要求します。また、最近波照間島南方海域において台湾船の侵入が多くみられるため、水産庁には徹底して沖縄海域を守っていくことを強く要望します。
●沿岸カツオひき縄漁業の存続のため、熱帯域での大規模まき網の漁獲規制を求めます。
日本沿岸のカツオひき縄漁業は江戸時代から太平洋岸沿岸漁民の生活を支えるきわめて重要な産業です。しかし、2004年以降、カツオの来遊が激減、沿岸ひき縄漁業は経営困難に陥っています。水産庁もやっと来遊資源の減少を認め、近年は国際会議で熱帯での漁獲規制をよびかけるようになりました。遅きに失した感もありますが、引き続き国際会議で熱帯域での大規模まき網の漁獲規制を求めるよう要望します。
また、地域に根ざす沿岸ひき縄漁業者の経営安定をはかるため、所得安定対策を講ずるよう強く要請します。
また、日本近海への北上量に影響をおよぼすと考えられる問題としてフィリピン・インドネシアの極小カツオの漁獲問題があります。ついては、その漁獲促進につながる日本のダシ産業、つゆメーカー食品企業の極小「鰹節」(10㎝、ペンシルカツオ)輸入を強く規制するよう指導されることを要望します。
●経営に苦しむ沿岸小規模漁民にサケの漁獲権利を与えることを要望します。
岩手県の漁業では、定置網だけがサケの漁獲権利を持ち、青森県、宮城県のように一般沿岸漁家にサケ刺し網での漁獲が認められていません。震災以降、沿岸漁民は経営に苦しんでおり、若者たちも沿岸漁業の将来に不安を持っています。一定の割合のサケの漁獲ができるよう水産庁からの指導を行うよう要望します。
●福島原発のトリチウム汚染水の海洋放出は絶対させないよう要望します
福島県漁民は今も原発事故の影響から、まだ、正常な漁業操業に復帰できずにいますが、福島県漁連を先頭に着実に操業再開へ向けた努力をされています。ここで、福島原発のトリチウム汚染水の海洋放出がされれば、再び福島県はもちろん、近隣の各県もふくめ甚大な風評被害が起きるのは歴然です。絶対にトリチウム汚染水の海洋放出はさせないよう要望します。