全国漁業協同組合連合会
代表理事会長 坂本雅信 殿
沿岸つり・はえなわ漁業の経営危機打開のため
クロマグロ知事管理漁獲枠の大幅増を求める要望書
JCFU全国沿岸漁民連絡協議会
共同代表および役員
高松幸彦(北海道北るもい漁協)
瀧澤英喜(岩手県越喜来漁協)
鈴木重作(山形県漁協)
鈴木正男(千葉県沿岸小型漁船漁協)
杉本武雄(和歌山県東漁協)
西川征二(長崎県美津島町漁協)
下山浩助(北海道戸井漁協)
泉 徳隆(青森県大間漁協)
能登勝男(青森県奥戸漁協)
嶋津圭一(千葉県新勝浦漁協)
片山 勇(三重県三重外湾漁協)
松村宗典(長崎県美津島町西海漁協)
高橋拓也(沖縄県八重山漁協)
根本勝洋(茨城県那珂湊漁協)
梅野萬寿男(長崎県厳原漁協)
宇津井千可志(長崎県上対馬漁協)
岡田三市(三重県三重外湾漁協)
常日頃より沿岸漁業振興にご尽力いただいていることに感謝申しあげます。
2018年から始まったクロマグロのTAC管理にあたっては、水産庁は当初、配分枠を沿岸漁民や漁協へ一切事前説明を行わず突然発表し、30日間行うべきパブリックコメントも9日間で締め切りTAC規制移行を強行しました。漁獲量の配分案は2万隻以上を承認していた沿岸釣り漁業と定置網漁業に、小型魚1,317トン・大型魚733トン、わずか25隻の大中まき網漁業ら大臣許可漁業に小型魚1,500トン・大型魚3,063トンを配分するという大規模漁業優先の内容でした。
我々沿岸漁民は、2018年6月25日に「この配分枠では生活ができない」と北海道から沖縄の漁民が農林水産省前に集まり「全国沿岸クロマグロ漁民共同行動」集会を行い、農林水産大臣に配分枠の見直しを行うよう強く申し入れました。しかし、その後も、当初の大臣管理枠と知事管理枠の基本的な配分枠を変更することなく今日までTAC管理を続けています。このため、この6年間、クロマグロを漁獲対象にする沿岸つり・はえなわ漁業者らは漁獲配分枠がきわめて少く、クロマグロが地先の海に来遊しても漁獲することができず、また、スルメイカの大不漁も相まって沿岸漁民の生活は極めて厳しい状況におかれています。このため沿岸漁民のなかには、すでに漁業をあきらめて離脱した者、新規参入をあきらめる者たちが出ています。
国連食糧農業機関(FAO)は、国際的な政策文書である「責任ある漁業のための行動規範」(FAO,1995)を補完する国際合意された新たな政策文書「持続可能な小規模漁業を保障するための任意自発的ガイドライン」(FAO,2018)を発表し、持続可能な小規模漁業を保障するために資源に対して安定した保有権を持たせることの必要性を謳っています。これらに沿って大西洋クロマグロでは、小規模漁業者には生活に配慮した大幅な漁獲枠の配分が保障されてきました。それに対して、これまで水産庁が推進してきた太平洋クロマグロのTAC管理における国内配分は、知事管理漁獲枠が小さく、小規模沿岸漁業の持続可能性を保障せよとした国連の政策文書に反するものであると言わざるをえません。
7月に釧路市で開催されたWCPFC北小委員会等において、太平洋クロマグロの親魚資源量は、WCPFCの期待値以上の14.4万トンにまで増加したことが示され、2025年からの漁獲枠について大型魚を1.5倍、小型魚を1.1倍にすることで合意がなされました。今後、漁獲枠の拡大に伴う、日本国内の漁獲枠配分にあっては沿岸漁民を苦しめてきた2018年の大臣管理枠、知事管理枠の国内配分枠に立ち返って見直し、小規模漁業者に配慮した大西洋クロマグロの配分事例のように日本の沿岸つり・はえなわ漁業者が安心して操業できるよう知事管理枠を大幅に増加させるよう全漁連も実現に向け全力をつくしていただけるようここに要望します。
要望事項
クロマグロの漁獲枠が小さく経営困難にある沿岸つり・はえなわ漁業者が安心して操業できるよう漁獲枠の国内配分にあたっては、
1.小型魚については増枠の400トンをすべて知事管理漁獲枠に配分すること。
2.大型魚については、知事管理漁獲枠として総枠の約6割5,000トンを配分すること。