2021年5月9日
全国漁業協同組合連合会
会長 岸 宏 殿
福岡高裁の和解勧告を尊重し、有明漁民との和解協議・農業漁業の共栄
・有明海の再生に全力をつくすよう国に求める要請について
JCFU全国沿岸漁民連絡協議会
共同代表:高松幸彦(北海道北るもい漁協)・瀧澤英喜(岩手県越喜来漁協)
鈴木重作(山形県漁協)・鈴木正男(千葉県沿岸小型漁船漁業協同組合)
杉本武雄(和歌山県東漁協)・笠岡義雄(愛媛県うわうみ漁協)
宮崎義則(長崎県美津島町漁協)
諫早湾干拓差し戻し審で4月28日、福岡高裁は和解勧告をした。私たちJCFU全国沿岸漁民連絡協議会(漁民構成員1万2千人)は、高裁のこの和解勧告を心から歓迎するものである。
福岡高裁の「和解協議の考え方」では「国民的資産である有明海の周辺に居住し、あるいは同地域と関連を有する全ての人々のために、地域の対立や分断を解消して将来にわたるより良き方向性を得る」ために「国民の利害調整を総合的・発展的観点から行う広い権能と職責とを有する控訴人(国)の、これまで以上の尽力が不可欠」と国が和解協議に向け積極的にその役割を果たすよう求めている。
1997年4月の潮受け堤防閉め切りからまもなく25年、2010年の福岡高裁における潮受け堤防排水門の開門判決確定から10年が経過している。
この間、潮受け堤防排水門の閉鎖が長期化する中、豊かであった有明の海から多くの魚介類が消え、生態系は一変し、有明海漁民の生活は深刻度を増している。有明の海は瀕死の状況であるといって過言ではない。
有明漁民も和解勧告を歓迎し、漁業者ばかりでなく、農業者、地域住民の参加も得て、地域全体が夢をもてる和解案づくりを望んでいる。有明海を再生し、次世代に豊かな海を継承し、持続可能な地域づくりを成し遂げていくためには、これまでの農民・漁民間の意見対立、地域分断を乗り越えて、夢のある有明の地域未来づくりに向け和解協議が進展に向かうことこそが最善の道であると信ずる。
以上を踏まえ、私たちJCFUは、国に対して排水門閉鎖や基金案に固執することなく、高裁勧告を尊重し、有明漁民との和解協議に真摯に立ち向かうよう要望書を提出した。
ついては、全漁連にあっても有明漁民の要望である和解協議が進展するよう国に強く働きかけを行っていただけるようここに要請するものである。